みなさんこんにちは、こんばんはww
はじめましての方は、はじめましてっ!
ココは【D.Gray-man】のオリジナル小説を書いたり
雑談したりするところですっ*
もう、18にいっちゃったねー・・・
この調子でドンドン小説書いたり、雑談したりしましょー!
*初めての方・見学だけの方でも大歓迎*
気軽に入ってね!皆で待ってるよ!
辺りは漆黒の闇に包まれている。俺はそんな闇の中、ただ一人佇んでいた。
―俺は何者か―
―何処で生まれて何処で育ったのか―
―考えれば考えるほど目の前が真っ暗になる―
―そんな気がした―
―でも考える事を止めなかった―
―自分の正体が知りたいがために―
―俺は―
―俺は―
・・・・ぉん、起きて。
―ん?この声は―
久遠、起きて。
―間違いない。あいつだ―
そう思うと辺りが光に包まれた。
そして少年の眼が覚めた。
ゆっくり眼をあけると、そこには少女が座っていた。
その少女の眼は海のような鮮やかな青色をしていた。
「やっと起きたぁ。夢でも見てたの?唸ってたけどぉ。」
少女はそういった。
―夢?俺は夢を見ていたのか―
―だが、思い出せない。どんな夢を見ていたのかが―
「まあ、良いけどさ。あ、そうそう。任務があるから準備しといてよぉ。」
少女はそういうと、何処かへ行ってしまった。
―任務?何の―
―それより、俺はいったい―
ふと横を見ると鏡があった。
そこには自分の姿が映っている。
―そうだ、俺は―
鏡を見たまま少年は、ゆっくりと記憶を探った。
―俺の名前は藤崎 久遠―
―年齢は多分12歳―
―そんで此処は黒の教団―
―何でこんな所に居るかっていうと、俺の眼ん玉がイノセンスとかいう奴だかららしい―
―でも、俺は何でこんな所で寝てたんだろう―
ズキッ
「痛ぇ!!!」
思わず声をあげた。
右腕がズキズキと痛む。
―そうだ。昨日の任務で疲れ果てて寝てたんだ―
少年は痛む右腕を庇いながら、任務に行くための準備をした。
―それにしても、ここに来て約8年もたつのか―
この少年は物心ついた時にはすでに教団に居た。
なので、それまでの記憶がいっさい無い。
そのため、教団に関すること意外は何も知らない。
自分の親が何者か、自分は何処で育ったのか。
自分が何者なのかさえも。
「久遠、準備できたぁ?もう行くよぉ。」
さっきの少女の声がする。
「わかった!!今行くから待ってろ!!」
少年はそう大声で叫ぶと、走っていった。
「で、今回の任務なんですが・・・。」
列車に乗った久遠と少女に、探索班の男が任務の説明をする。
「今回の任務はイノセンス回収が目的です。」
「イノセンス回収ぅ?そんなの探索班のあんた等が行けばいいじゃん。」
「そうしたいのはやまやま何ですが、どうやらエクソシスト様でなければ入れない場所にあるようなので。
それに、近辺にAKUMAが現れたという情報も入ってきたようですし。」
「ふぅ~ん・・・。で、その場所はぁ?」
「神羅の森と言う場所です。」
「神羅の森ぃ?どんなとこぉ?」
「人も動物も居ない、不思議なところです。あるのは木々のみ。
しかも、人が入ると何故か入り口に戻されてしまうのです。」
「なるほどぉ。イノセンスは辺りに奇怪な現象をおこすからねぇ。」
アリスがそう言った。
―たしかに、入り口に戻される
「はい、コムイ室長がイノセンスの影響ではないかと判断されたので、エクソシスト様が行くことになったのです。
イノセンスの影響ならば、エクソシスト様には作用しませんから。」
「なるほどぉ。久遠、単独か二人か、どっちにするぅ??」
「え?」
イキナリ話を自分にふられて、何て言えばいいのか、わからなかった。
「だ・か・ら!!単独で行動するか、二人で行動するかだよ!!」
「わ、わかったから怒鳴るなよ。アリス。」
アリスと呼ばれた少女は、早く答えろ!!と言わんばかりに鮮やかな青色の眼で睨みつける。
「二人が良いと思うよ。
俺の能力は‘見る‘だけで攻撃できないし、単独だとどちらかが捕まったりしたら対処できないだろ。」
少年はそう言うと、水を一杯飲んだ。
「う~ん・・・。たしかにそうだねぇ。じゃ、二人で行動しようかぁ♪」
アリスがそう言うと、探索班の男が言った。
「付きました。ここから先は歩くしかありません。」
少年とアリスは列車から降りた。
「わぁ・・・。」
思わず声を上げてしまった。
それほど綺麗な深緑色が広がっていた。
しかし、枯葉一枚も無い木々達は、この森がどこか異常である事を現しているようだった。
編集:2009/05/11 17:45:38
探索班の男は、
「生きて・・・・生きて帰ってきてください。・・・どうか、ご無事で・・・・・。」
と言い残すと、列車に乗り、本部へ帰っていった。
「まず、何処に行くぅ?」
「とりあえず、中に入ってみよう。」
少年はそう言うと、アリスと一緒に中に入っていった。
「思ったより、中も明るいな。」
「そぉだねぇ。眩しいくらいだよ。」
アリスはそう言うと、イキナリ立ち止まった。
「・・・ぉん・・・。」
「え?」
「久遠。お前のイノセンスでななめ右後ろを見ろ。・・・つけられているぞ。」
アリスはそういうと、真剣な顔つきになった。
「わかった。イノセンス発動。「遠視眼」!!」
イノセンスを発動し、右後ろをみると、・・・・居た。レベル3の人型AKUMAが一匹。
「アリス。居たぞ、レベル3が一匹。」
すると、アリスは不敵な笑みをうかべ、
「一匹かぁ。いい度胸じゃん。バラバラにしてやろぉ。」
と言った。
とたんに少年の背筋に寒気が走る。
「で、どうやって倒すんだ?」
「まずぅ、久遠はAKUMAの居場所を見ててぇ。で、そしたら私の「歌」でスピードをあげるからぁAKUMAの傍まで行ってぇ壊すのぉ。」
「その前に逃げられたらどうするんだ?」
「大丈夫。これを使うからぁ。」
そう言うとアリスは何処からかマイクを取り出した。
そのマイクはピンク色で装飾もされていた。男の少年が見ても可愛いと思えるほど可愛かった。
「そのマイクがどうしたんだ?」
「このマイクはねぇ、私の歌が届く範囲を倍増させてくれるんだぁ。
しかも、普通のマイクだと私の歌に耐え切れず壊れてしまうけど、これはコムイと環の特別製だから壊れないしぃ♪」
なるほど。それで逃げられても攻撃が届くと言うわけか。
「わかった。えっと今AKUMAは・・・!!!!」
「どうしたのぉ??」
「AKUMAが移動を始めた。方向は・・・・え?嘘だろ!!??」
「どうしたの!?早く言いなさ・・・
もう遅かった。
俺達の背後に移動していたAKUMAは、俺達に攻撃した。
「危ない」というアリスの声が聞こえたとたんに目の前が真っ暗になった。
編集:2009/05/11 17:45:17
―俺は死んだのか―
―死んだとしたら、此処は天国か―
=愚かなことを言っているのではない=
―誰だ?お前―
=お前は自分の正体を知らないだろう?自分の正体もわからない奴が天国に行けるわけないだろう=
―自分の・・・・正体―
=そうだ。自分の正体だ=
=お前は何者なんだ=
―俺は―
―俺は―
=ほら、言葉が行き詰る。やっぱりお前は居てはならない存在なんだ=
―じゃあ、俺は地獄に行くのか―
=いや、地獄には行かない。お前が行くのは闇の中。何も存在しない、暗黒の闇の中だ!!=
編集:2009/05/11 17:44:57
そう言われた瞬間、足元の地面が消え、落ちた。
が、消えていない地面を左腕でつかんだおかげで助かった。
―う、うわぁ!!た、助けて!!―
少年は必死になって叫んだ。つかんでいる部分も消えそうだからだ。
=誰がお前なんかを助けるか。お前みたいな、愚か者を=
―そう言うお前は何者なんだ!!―
少年が叫んだ。するとその者が近づいてきた。
=知りたいか?では教えてあげよう。俺は・・・お前だよ=
その者は、間違いなく久遠だった。
―嘘だろ!!俺なら助けてよ!!なぁ、お願いだからさぁ!!―
つかんでいる部分も消えてきた。
=嫌だよ。だって、お前が=
―お、俺がどうしたんだよ―
=お前が=
= =
―え―
その瞬間、地面全てが消えた。
―うわぁぁああぁぁああああぁあぁああぁぁぁぁあああぁぁあああ―
闇の彼方へと落ちていく少年を
もう一人の少年は
微笑みながら見ていた
編集:2009/05/11 17:37:15
おい、こいつ死んでいるのか?
わからない・・・。でも、一応食事の用意をしておいてあげましょう。
真面目だなぁ。ルルは。
そうかな?ってあれ?この人、動いてるよ!!
本当だ。生きてるみたいだな。
起きてください!!旅のお方!!起きてください!!
「ん・・・・ここは・・・。」
「やっと起きましたね!!旅のお方!!」
「やっと起きたか。大丈夫か?」
「ここは・・・。」
そこは普通の家の中の様子だった。
自分に話かける二人の女は、一人が左側の前髪がとても長く、顔の左半分は隠れており、もう一人は右側の前髪がとても長く、顔の右半分は隠れていた。
まるで鏡だな。と少年は思った。
「お、お前達はいったい・・・?」
「「私達の事ですか?」」
み、みごとにハモリやがった。・・・・機械か?
「私が双子の姉、リリシェルで、
「私が双子の妹、ルルシェルです。」
ぶ、文章を繋げやがった・・・。やっぱり機械??
と言う俺の個人的な突っ込みは置いといて、どうやら左眼が隠れているのが姉、リリシェルで、右眼が隠れているのが妹、ルルシェルらしい。
この二人、髪は綺麗な金色で、腰より少し下まであり、眼は澄んだ空色で肌の色は真っ白の‘人間‘のはず。
でも、何かがおかしい。眼がまるで、人形のようだというか・・・・。
「「どうしましたか??」」
「い、いや、何も・・・・。」
どうする。今この二人から情報を得るのか、危険に巻きこわないために何も言わずに立ち去るのか。どっちが正しいのだ?
決めた。情報を得よう。だがその前に自分の名前ぐらいは言っておこう。
一応命の恩人なわけなのだから。
「あ、俺の名前は藤崎 久遠。久遠で良いよ。」
「わかりました。私の事はルルで良いですよ。」
「私の事はリリで良いから。」
「わかった。それより聞きたいことが・・・
「う・・・うぅううぅぅ・・・・。」
「!!!!」
あれ?何処からかうめき声が・・・。
・・・耳をすませんてみよう・・・。
「・・・うぅ・・・うう・・・・。」
やっぱり、人のうめき声が聞こえる。
―何処だ。何処に居る―
「あら、起きましたかな?姉さん。」
「あら、本当だな。ルル。」
そう二人は話していると、ルルシェルが何やら後ろの壁を壊し始めた。
「いぃ!?」
「あら、びっくりなさらなくても大丈夫ですよ。ねえ、お姉さん。」
編集:2009/05/11 17:40:23
ルルシェルが微笑みながらそう言う。でもルルシェルさん、それ壁よ。壁壊すってどういう事よ。
「えっ、ちょ、止めた方が・・・。」
「大丈夫だって。心配するな。」
「せぇーの・・・そいや!!」
ドゴォォォォン
ルルシェルが壁を壊すと、壁の向こう側に、もう1つ部屋があった。
「こ、これは・・・・・。」
「そこの部屋は隠し部屋になっててさぁ。
普段は何も置いてないんだけど、今はこの大怪我を負った娘さんを治療してるんだよ。」
「なるほど。って、お、お前は・・・・。」
編集:2009/05/11 17:44:31
リリシェルが見せてくれた‘大怪我を負った娘さん‘は、間違いない。
「アリス!!」
アリスだった。
「え?あなた、このお嬢さんと知り合いだったの!?」
リリシェルが驚いたような声をあげる。
今気が付いたが、姉、リリシェルの方が口が悪いらしい。
「うん。仲間・・・なんだ・・・。」
ズキッ
「痛!!!」
「どうしましたか!!」
「な、何か急に右腕が痛くなって・・・。」
右腕を見ると、赤く染まっていた。
どうやらあのAKUMAの攻撃のせいで、塞ぎ掛けだった傷口が披いてしまったようだ。
「だ、大丈夫ですか?」
ルルシェルが心配そうにこちらを見る。
「あ、あぁ。大丈夫だ・・・。・・・・それより、アリスは?」
「アリスさんは背中全体に大きな傷を負っていて、完治するには半月はかかりそうなんです。」
「そうか・・・。」
―アリス、ごめんな。俺がすぐにAKUMAの居場所を話していれば―
「あと、アリスさん、、久遠さんの事を凄く心配してるようで・・・。」
「俺を?」
「はい。ずっと魘されているみたいに、「久遠、久遠・・・・大丈夫か、久遠・・・」って。」
と言った。
アリス、お前はそんなに俺の事心配してくれているのか・・・。
「少し、聞きたい事がある。」
「はい?」
「何を?」
「お前達は・・・。」
「「?????」」
「何者なんだ?」
俺がそう言った瞬間、時が凍った。チッチッチ・・・という時計の針の音だけが聞こえる。
とにかく、沈黙だけが流れた。
「あ、無理なら言わなくても―
「・・・・します。」
「え?」
時がまた、流れ始めた。
「私達の事、全て話します。まず、私達は人間ではありません。
「白銀の氷」によって生まれた、森の精です。」
「も、森の精!?」
「はい。・・・いいですか、今から話す事は全て事実です。・・・・信じてください。」
「私も話す。信じてくれよ。」
こうして俺は、二人の話を聞く事になった。
「ちょ、ちょっと整理させてくれ。」
「良いですよ。」
「早くしろよ。」
「えっと、あんた達は、この森の奥にある「白銀の氷」という不思議な氷によって生まれた森の精で、その「白銀の氷」のおかげでこの森の木々は枯れないし、腐り落ちることもない。
まさにこの森を守るためにある「白銀の氷」の意思に従い、あんた達はこの森に来た人間を外に追い返している・・・・ってことだな。」
「はい。その通りです。」
「うん。その通りだ。」
まずい事になったな。アリスが重症の今、ただちに任務を終え、本部に帰る必要がある。
しかし、目的のイノセンスらしき「白銀の氷」はこの二人によって守られている。
そのため、イノセンス回収の際にもめるかもしれない。
俺がエクソシストだという事は言わないほうが良いだろう。
それにしても、ずいぶんと面倒な事になりそうだ。
しかし、情報を持っているのはこの二人しか居ない。
一応聞いてみるか。
「で、その「白銀の氷」っていうのはどんな奴なんだ?」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
再び、沈黙が流れた。
―やはり、この二人から聞き出すのは難しいか―
「ルル、どうする?」
「リリ姉さん。どうしますか?」
「う~ん・・・こいつの目には邪気がなさそうだし。良いか。」
「わかりました。では話します。」
「う、うん・・・・。」
やった。情報を入手できそうだ。
「「白銀の氷」は決して溶けない、その名の通り、白銀色の氷です。
この森の奥にガラスの箱に入っている状態で保管されています。」
「また、不思議な力があって、その不思議な力で私達を森の精にしてくれた。
それに、私達に家と、使命を与えてくれたんだ。」
「使命?」
「そう。使命。それは・・・。」
急に二人の目つきが真剣になった。
「「命を懸けて「白銀の氷」を守る事。
「白銀の氷」のために生き、「白銀の氷」のために死ぬのが私達の使命。」」
「なっ・・・。」
衝撃だった。二人の意思が此処まで強いとは。
・・・やはり、イノセンス入手のためにはこの二人と争わなければ駄目か・・・。
「ちなみにこの家は神羅の森の真ん中に立っている。」
「ここの位置は森全体が見渡せますから。」
「そうなんだ・・・。」
―どうする?イノセンスを入手するべきか、しないべきか・・・―
―いや、入手するべきなのはわかっている。問題はこの二人をどうするか・・・―
―正直に言ってみるか?
・・・いや、そんな事したら怪我を負っているアリスがどうなるかがわからない―
―最悪、アリスが人質にされ、最終的には殺されるかもしれないし―
色々な考えが頭を過ぎる。
―どうする?こうなったら二人が居ない間にイノセンスを・・・
いや、この二人は何があってもイノセンスの元に来るだろうし・・・このさい・・・
ドォォォン
外から大きな音がした。
「な、何だ!?ルル、外を見てみろ!!」
リリシェルはルルシェルに望遠鏡を投げる。
「は、はい!!姉さん!!・・・これは・・・。」
ルルシェルが震え始める。
「な、どうしたんだ!?」
俺はルルをどけ、外を見た。
「!!!!!」
俺は唖然とした。目の前に広がるのは、さっきまでの深緑色を焼く、赤色だったからだ。
「姉さん・・・森が・・・森がぁ!!」
ルルシェルは泣き崩れる。
「どうして・・・どうしてぇ!!!」
「泣くなルル!!もう間に合わないと決まったわけじゃない!!まだ、「白銀の氷」があるじゃない!!」
「でも・・・・でもぉ!!」
「泣くな!!今はとにかく「白銀の氷」の元に行って無事かどうかを確かめるのが先でしょ!!」
そう言ったリリシェルの眼にも、涙が溜まっていた。
―二人は今、そうとうショックだろうな―
―リリも強がってああ言っているけど、かなりショックなはずだ―
―でも、何故この神羅の森が燃え始めたんだ―
―!!もしや、あのAKUMAが―
そう思った瞬間、俺は外に飛び出していた。
「危ない」「行っちゃ駄目だ」なんて声は、聞こえなかった。
「あのAKUMA、たしか人型だったよな・・・。なら、地上を見てみるか・・・。」
俺はイノセンスを発動させ、辺り一面を見た。
・・・居た。あの人型のAKUMAが。
そのAKUMAは手から火の塊を森に放っている。
―こいつの所為で森が―
―許せない―
「おい!!久遠!!」
「今外に出ると危険ですよ。」
ルルシェルとリリシェルが駆け寄ってきた。
「わ、悪い・・・。あ、それでこの森を燃やしている奴があっちに居るんだ。」
俺はAKUMAが居る方向を指差した
「な、何だって・・・。」
「そ、その方向は・・・。」
「ん?どうし・・
リリシェルとルルシェルはAKUMAが居る方に行ってしまった。
―しまった。二人に教えるべきではなかった―
―いくらなんでも森の精がAKUMAに勝てるわけが無い―
―でも、いくらなんでもあそこまで急いでいくか?―
「・・・はっ、もしや、あそこの方に「白銀の氷」があるのでは・・・。」
俺は走った。
走るたびに右腕の傷が痛む。
でも、そんな事は関係なかった。
―どうしよう、イノセンスが奪われていたら―
―どうしよう、リリとルルがAKUMAにやられてしまったら―
―どうしよう、この森全てが燃えてしまったら―
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう・・・・
この時の少年の脳内は、この言葉で溢れていた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。やっと付いた。二人は・・・。」
まず、近くの茂みに隠れた。
そこにAKUMAが居たら危険だからだ。
それから俺は顔を上げ、目の前を見た。
=目の前に広がっている光景が絶望に満ちているとも知らないで=
「姉さん・・・。姉さん!!!」
「ルル、私の事は良い・・・。だから、早く、「白銀の氷」を・・・・。」
「そんなに大事かぃ?この氷が。大丈夫、ノア様が壊してくれるから。」
目の前に広がる光景は、絶望そのものだった。
リリシェルが血だらけで倒れており、ルルシェルは火の鎖で拘束されている。
そして、奥にあるガラスの箱の上にはAKUMAが座っている。
AKUMAが座っているガラスの箱の中には、丸い、小さな白銀色の氷が浮いている。
―なるほど。あれが「白銀の氷」か―
「次は何処を刺そうかねぇ!!!!」
AKUMAは笑いながら二人を見ている。
―どうしよう―
―俺のイノセンスは‘見る‘事しか出来ないし―
「姉さん!!しっかりして!!・・・姉さん!!」
「わかったから・・・そんなに叫ぶなよ・・・。」
「姉さん!!血が・・・血がいっぱい・・・。・・・・姉さん!!」
「くははは!!良い叫び声だねぇ。もっと叫びなぁ!!」
AKUMAはそういうと、リリシェルに炎の槍を突き刺した。
「ぐあああぁぁぁぁぁあぁあぁあああぁあぁぁぁあああ!!!」
リリシェルが叫び声をあげる。
「姉さん!!姉さん!!!姉さん!!!!」
ルルシェルも泣きながら叫ぶ。
「あっは~ん♪人の叫び声は気持ち良いねぇ~♪」
―どうする―
―一か八か出てみるか―
―でも、俺は見る事しか出来ない―
―でも、でも―
「姉さん!!姉さん!!」
「そろそろ殺るか。楽しかったよ。バイバイ。」
―このまま黙って見てられない―
「やめろ!!このクズ野郎!!」
俺は飛び出した。
「く、久遠さん・・・・。」
「ゲホッゲホッ・・・・。・・・・久遠・・・?」
「おい、今なんて言ったぁ?この餓鬼。」
迷いはなかった。もう、言うと決めていたから。
「俺はエクソシストだ。お前を壊しに来た。」
「え、エクソシストだと・・・。」
「く、久遠さんが・・・・?」
やはりリリシェルとルルシェルも驚いている。
―俺が「白銀の氷」を取りに来たって知ったら、二人はどうするんだろう―
「え、エクソシストだとぉ!!何故こんなところにぃ!!」
AKUMAは「白銀の氷」の入っているガラスの箱の上から降りた。
―言うしか無い・・・・か―
「俺はイノセンスの「白銀の氷」を回収しに来た。イノセンスを渡せ!!」
「な、何だと・・・・。」
「「白銀の氷」を・・・?」
―ごめんな、二人とも―
―騙していて―
「嫌だねぇ。この氷はノア様に壊してもらうんだからさぁ。」
AKUMAは不気味に微笑んだ。
「ふざけるな・・・。」
「ふざけてなんかないさ。それよりも餓鬼一人で私に挑む気かぃ?」
―一人で挑む気か?だって?―
「久遠、止めろ・・・。ゲホゲホゲホ・・・・殺されるぞ・・・。」
―リリ、お前吐血してるじゃねぇかよ―
「久遠さん!!止めてください!!」
―ルル、お前涙で顔がぐしゃぐしゃじゃねぇかよ―
「一人で挑む気か?だって?」
言葉は自然とでていた。
「そうさ。だってこんな餓鬼一人で・・・
「うるせぇよ。」
言う言葉は決まっていた。
「お前は俺がぶっ壊す。」
そう言って俺は、不敵に微笑んだ。
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